こども日経ブログ

日経の最新の記事の中から、こどもにも考えてもらいたいテーマを選び、ねこ先生に解説してもらうブログです。

G7広島サミットについて

5月22日(月)朝刊1面

G7広島サミット閉幕 米欧とアジアを結ぶ日本の重責

www.nikkei.com

にゃん太:「5月18日から始まったG7広島サミットが、21日に閉幕したね。ニュースでみたよ」

ねこ先生:「そうだね!では、参加国であるG7とは、どこの国か知っているかな?」

にゃん太:「え〜と、アメリカとイギリスとフランスと、中国もかな?」

ねこ先生:「いや、中国は入っていないよ。答えは、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、カナダ、日本の7ヶ国で、これらの国の代表の他、EUの代表も参加しているよ。以前は、ロシアも含めてG8と言っていたんだけど、2014年にロシアがクリミアを併合したことから、ロシアは参加資格を停止されたんだ」

 

にゃん太:「クリミアはウクライナの領土だったんでしょ。今もロシアはウクライナを攻めているよね」

ねこ先生:「よく知っているね!G7広島サミットでは、G7以外に、インド、韓国など8ヶ国を招待したんだ。その一つがウクライナだよ。ウクライナからはゼレンスキー大統領が(当初オンラインの予定だった所)対面で参加し、G7の首脳たちにウクライナへの支援を訴えたんだ」

 

にゃん太:「サミットが広島で開催されたのは、平和への願いを込めたのかな」

ねこ先生:「その通り!鋭いね。ロシアは世界最大の核保有国で、5977発もの核弾頭を持っているんだ。人類初の原子爆弾を経験した広島を各国首脳が訪問し、原爆資料館を見学したり、被爆者と対面したりすることで、核兵器の脅威と平和の重要性を世界に訴えることができた意義は大きいと思うよ」

 

にゃん太:「今回のサミットで、平和に向けて合意できたことで、世界は平和に向かうと言っていいのかな」

ねこ先生:「それが、そう簡単にはいかなそうなんだ。現在、世界の国内総生産GDP)でG7が占める割合は4割ほどしかなく、6割を占めていた40年前と比べると、G7の影響力は小さくなってきている。代わりに、40年前は数%程度だった中国のGDPは世界の2割に迫る勢いで、益々存在感を増してきている。中国はロシアと仲が良く、中国やロシアに対抗し、国際秩序を維持するためには、G7のみならず、グローバルサウスと呼ばれる新興国の協力も重要なんだ。日本は、アジアで唯一のG7メンバーで、米欧とアジアを結び付ける重要な役割を担っているんだね」

小中学校の教科書のデジタル化について

3月29日(月)朝刊2面

教科書、デジタル対応加速  24年度向け検定、小学校用全149点にQR

www.nikkei.com

にゃん太:「この見出しの意味は分かったよ。今後、教科書のデジタル化が進む、という記事だね。紙の教科書は重いから、持ち歩かなくて済むなら便利だなあ」

ねこ先生:「そうだね。他にも、教科書のデジタル化には、様々なメリットがあるんだ。例えば、音声の読み上げや文字の拡大などの機能により、視覚などの障害がある生徒の学習を支援することができる。また、検索機能の活用や、動画・アニメーション、ドリル・ワーク、参考資料などと連動させることで、主体的な学びを促し、学習効率を上げることができるのではないかと期待されているよ」

 

にゃん太:「それはいいね!デジタルの教科書は、いつから利用できるようになるの?」

ねこ先生:「学習端末で使うデジタル教科書は、2024年4月から小中学校の英語に、2025年4月から算数・数学に、順次導入される予定だよ。当面は、紙とデジタルの教科書を併用することになるみたい。小学校の紙の教科書には、全てQRコードが掲載され、デジタルの教材と連動しやすくなるんだって」

 

にゃん太:「英語の発音が聞けるようになったり、難しい図形の問題も理解しやすくなったりしそうだなあ。早く使いたいよ!」

ねこ先生:「そうなんだけど、デジタル教科書の導入には、いくつか課題もあるんだ。例えば、2022年の文部省調査では、学習端末を『ほぼ毎日使う』と答えた小学校の割合が、東京都などで7割を超えた一方、2割台しかない地域もあった。デジタル教材に関する教員の習熟度を高める必要もあるね」

 

にゃん太:「現状として、デジタル教材の利用状況には、地域差があるんだね」

ねこ先生:「通信環境の整備という課題もある。文部省の実証事業では、教員の半数が、デジタル教科書の不便な点として、『フリーズやエラー表示への対処が必要』と指摘したんだ。今後、複雑な機能が増えれば、通信環境の負荷が大きくなり、トラブルが発生する恐れも高まる。」

 

にゃん太:「すぐにフリーズしたりエラーが出たりするのでは、学習に支障が出そうで、嫌だなあ。」

ねこ先生:「その他、法整備が追いついていないという課題もある。現在、小中学校で使う教科書は無償配布され、副教材や補助教材の費用は保護者(親など)が負担するのが原則なんだ。

学校教育法は教科書を『図書』と定めているので、現状では、デジタル教材のうち無償配布の対象は紙と同じ内容に限られる。動画やアニメーションの多くは補助教材の位置づけで、教科書会社が紙と一体のサービスとして提供しているんだけど、デジタルでは、どこまでが無償配布の教科書で、どこからが補助教材の扱いになるのか、分かりにくいよね」

 

にゃん太:「色んな課題があるみたいだけど、デジタル教材はとても便利なので、早く使えるようになって欲しいなあ!

リスキリングとグローバル化について

3月27日(月)朝刊1面

「フェアネスを問う(1) 人への投資、国開く礎に 〜リカードの矛盾を超えて

www.nikkei.com

にゃん太:「見出しを見ても何についての記事か全然分からなかったんだけど…。人への投資?リカードの矛盾??」

ねこ先生:「丁寧に解説するから大丈夫!この記事は、グローバリゼーションの課題をテーマにした記事なんだよ」

 

にゃん太:「そもそも、グローバリゼーションって、何だっけ?」

ねこ先生:「現代は、鉄道や飛行機などの交通手段が発達し、自由に国境を超えて人が行き来したり、インターネットを通じて情報を得たりすることがごく普通になっているよね。そのように、技術革新により、従来の国や地域などの垣根を超えて、ヒト・モノ・カネが活発に移動し、地球規模で相互に影響し合う現象を、グローバリゼーション(グローバル化、globalization)というんだ」

 

にゃん太:「外国に気軽に行けるようになったり、インターネットで自由に情報を得られたりするんだから、便利な時代だね」

ねこ先生:「確かにそうだね。他にも、外国と貿易をして、他国の良い商品や安い商品を輸入したり、自国の商品を輸出して利益を得たりすれば、双方にメリットがある。これを積極的に推し進めて、各国が自国の得意な物の生産に専念して輸出し、その他の物は輸入で補うことで、全体的な生産性が向上し、世界全体の利益になる。

これが、19世紀初頭にイギリスの経済学者デヴィッド・リカード(David Ricardo)が発見した、比較優位説という考え方で、今も国際貿易において重要な概念だと言われているんだ」

 

にゃん太:「なるほど〜!グローバリゼーションには、良い事がたくさんあるんだね」

ねこ先生:「理論的にはそうなんだけど、グローバリゼーションを進めることは簡単ではないんだ。例えば、A国の企業が、ある製品について、自国で生産するより効率が良いということで、B国に生産拠点である工場を移転しようとすると、元々A国にあった工場を閉鎖することになる。そうすると、どうなるかな?」

にゃん太:「工場で働いていた人たちが失業する」

ねこ先生:「そうだね。たくさんの失業者が生まれ、その地域が衰退してしまう場合もあるんだ。そうなっては困るので、反対する人がたくさんいるんだよ。保護主義といって、自国の雇用や産業を守ろうとする考え方だね。高関税で他国の製品を排除したり、補助金を出して工場を誘致したり。アメリカのトランプ前大統領やバイデン大統領も、保護主義に傾いた政策を採っているよ」

 

にゃん太:「では、どうすればグローバリゼーションを進めながら、自国の産業も守っていけるんだろう?」

ねこ先生:「自国民の能力を高め、国際的な競争力を上げていくことが有効だと思う。例えば、デンマークでは、職業を変えるためのリスキリングや失業給付などのために、人口1人あたり4500ドルと、アメリカの約4.5倍も予算を投じているんだけど、このように人への投資が多い国は、貿易開放度(GDPに占める貿易比率)が高いというデータがある。つまり、自国の力を高めることで、保護主義に走らなくても、十分、国際競争に勝てる、ということなんだ」

 

にゃん太:「国民一人ひとりの力を高めることが、グローバリゼーションにも繋がっていくんだね!