こども日経ブログ

日経の最新の記事の中から、こどもにも考えてもらいたいテーマを選び、ねこ先生に解説してもらうブログです。

リスキリングとグローバル化について

3月27日(月)朝刊1面

「フェアネスを問う(1) 人への投資、国開く礎に 〜リカードの矛盾を超えて

www.nikkei.com

にゃん太:「見出しを見ても何についての記事か全然分からなかったんだけど…。人への投資?リカードの矛盾??」

ねこ先生:「丁寧に解説するから大丈夫!この記事は、グローバリゼーションの課題をテーマにした記事なんだよ」

 

にゃん太:「そもそも、グローバリゼーションって、何だっけ?」

ねこ先生:「現代は、鉄道や飛行機などの交通手段が発達し、自由に国境を超えて人が行き来したり、インターネットを通じて情報を得たりすることがごく普通になっているよね。そのように、技術革新により、従来の国や地域などの垣根を超えて、ヒト・モノ・カネが活発に移動し、地球規模で相互に影響し合う現象を、グローバリゼーション(グローバル化、globalization)というんだ」

 

にゃん太:「外国に気軽に行けるようになったり、インターネットで自由に情報を得られたりするんだから、便利な時代だね」

ねこ先生:「確かにそうだね。他にも、外国と貿易をして、他国の良い商品や安い商品を輸入したり、自国の商品を輸出して利益を得たりすれば、双方にメリットがある。これを積極的に推し進めて、各国が自国の得意な物の生産に専念して輸出し、その他の物は輸入で補うことで、全体的な生産性が向上し、世界全体の利益になる。

これが、19世紀初頭にイギリスの経済学者デヴィッド・リカード(David Ricardo)が発見した、比較優位説という考え方で、今も国際貿易において重要な概念だと言われているんだ」

 

にゃん太:「なるほど〜!グローバリゼーションには、良い事がたくさんあるんだね」

ねこ先生:「理論的にはそうなんだけど、グローバリゼーションを進めることは簡単ではないんだ。例えば、A国の企業が、ある製品について、自国で生産するより効率が良いということで、B国に生産拠点である工場を移転しようとすると、元々A国にあった工場を閉鎖することになる。そうすると、どうなるかな?」

にゃん太:「工場で働いていた人たちが失業する」

ねこ先生:「そうだね。たくさんの失業者が生まれ、その地域が衰退してしまう場合もあるんだ。そうなっては困るので、反対する人がたくさんいるんだよ。保護主義といって、自国の雇用や産業を守ろうとする考え方だね。高関税で他国の製品を排除したり、補助金を出して工場を誘致したり。アメリカのトランプ前大統領やバイデン大統領も、保護主義に傾いた政策を採っているよ」

 

にゃん太:「では、どうすればグローバリゼーションを進めながら、自国の産業も守っていけるんだろう?」

ねこ先生:「自国民の能力を高め、国際的な競争力を上げていくことが有効だと思う。例えば、デンマークでは、職業を変えるためのリスキリングや失業給付などのために、人口1人あたり4500ドルと、アメリカの約4.5倍も予算を投じているんだけど、このように人への投資が多い国は、貿易開放度(GDPに占める貿易比率)が高いというデータがある。つまり、自国の力を高めることで、保護主義に走らなくても、十分、国際競争に勝てる、ということなんだ」

 

にゃん太:「国民一人ひとりの力を高めることが、グローバリゼーションにも繋がっていくんだね!